エドゥアルド・デ・フィリッポ戯曲集 A
クピエッロ家のクリスマス(1931年)
あの巨匠フェデリコ・フェリーニが憧れた作品。
イタリアのクリスマスで、今でもテレビ放映の人気ドラマ
家族団欒のシンボルとも言えるプレゼーピオ(キリストの誕生を再現した飾りつけ)をクリスマスに向けて製作しているルカ・クピエッロ。
何事にも無神経になった妻コンチェッタとろくでなしの息子トンマジーノ。お決まりのトンマジーノと伯父パスクワリーノの口論をはじめ、
嫁に出た娘ニヌッチャの家庭問題で祝祭の雰囲気は一転してしまう。娘ニヌッチャは、愛人ヴィットリオと一緒になるため、
夫と別れるつもりだと母親に打ち明ける。そして、クピエッロ家のクリスマス昼食会で、ひょんなことから、この二人の恋敵が顔をあわせることとなる。
思いがけない現実を目の当たりにしたルカは、ショックのあまり病に倒れる。フェミニズムの時代を生きる娘、その時代から取り残された父親が、
喜劇と悲劇の交じり合う笑いと涙の中で見事に描かれている。